手術から1週間経った。心臓を切り取る過程で肺に穴が開いて息ができなくなったり、41度近い熱がずっとさがらなかったりと散々な1週間だった。
集中治療室に何日入っていたのかはよく覚えていないが、これだけは言えることとして、本当につらい時間だった。目は完全に死に腐り、身体中に血まみれのチューブをつなぎまくり、麻酔を打ってもらうと1時間だけ眠れる、そういう感じだった。
術後の傷痕は胸元からヘソまでアジの開きぐらい伸びている。これは一般の人からするとグロすぎて温泉もプールもしばらくは入れてもらえないかもしれない。かなしい。
ここしばらくでやっと自立歩行ができるようになったので、重症者個室から一般個室に移るべく荷物をまとめていたところ、荷物の山の片隅から鳥モモ肉みたいなものが出てきた。普通に美味しそうだなというのが率直な感想だったが、袋の説明を見たら手術で切り取った自分の心臓の一部だった。これよりすごいことはたぶん今後の人生でもうあまりないだろう。
手術後から一晩たりとも欠かさず、人生の懺悔をさせられているのかと思うぐらいひどい悪夢を見る。毎晩一人また一人と、あらゆる友人家族先輩後輩から縁を切られ捨てられていく。その悪夢から目覚めるのは決まって午前2時半で、いつも熱と吐き気にうなされている。このままだと気が狂うかもしれない。
さあ、あと1週間で俺は退院できるのでしょうかね。