プッシュ通知で広告出すアプリはクソです。

僕はあまり自分からマーケティングの話はしないようにしていて、あくまでもデータ周りを専門とした分析屋だと言い張っている。しかしながら、データサイエンスやテックの世界一般とマーケティング的なそれには根本的な乖離があるんだということは定期的に書いておくべきだろうと思う。たとえば、顧客に関するデータの収集や分析手法がどんどん高度化していくなかで、人々はすぐ「この技術を使うことで様々な顧客データの分析に基づいたパーソナライズドなプッシュ通知を行うことが可能です!」とか言うようになった。しかしながら、そんなことが本当に正しい行いだと思っているのだろうか。

すごく嫌な言い方をすると、どれだけ顧客志向だとかいっても多くのマーケターは最終的には自分たちのやっていることを正義だと思っている節があるし、テック周りのギークは技術的に面白ければいいと思っている節がある(肌感覚としてはこれでもマシにはなってきた方だとは思う)。しかしながら、大前提として広告なんていうものは邪魔な存在だということをもう少し認識しておいた方がいい。プッシュ通知というのは人々の実生活に”割り込む”ものであって、生活に割り込んで認知資源を奪い取ってまで広告をねじ込んでくるなんていうのははっきりいってどうかしている。そんなことをしていながら、一方で私たちは顧客志向ですだなんてよく言えるなと思うことが多々ある。

僕は1回でも広告の通知を出してくるアプリは無条件にiOSの設定側で根本から通知を切るというルールでアプリの運用をしているけど(アプリによっては大事な通知とそうでない通知をわけて設定できなかったりして、これは本当にひどいことだ)、そういうことをやっていない一般の人たちには日々大量の通知が来ているんだろうと思う。それで日常的に生活を邪魔されているんだとしたら本当に可哀想なことだ(それを避けるためにiOSでも色々と通知周りはうまくカスタマイズできるようになってきたけど、市井の人々がそれらをどれほど活用できているのかはわからない)。

かたや僕は広告を完全に消し去りたいわけではない。ただ、情報にはサッと考えるだけでも i) pushで随時伝えてほしいもの, ii) 定期的なpushでまとめて伝えてほしいもの, iii) こちらからfetchしない限り入ってこないでほしいもの, iv) 伝えられたくないものの少なくとも4段階ぐらいはあるはずで、僕の場合広告はiiiに分類される。新しい物好きとして新製品等の情報は余すことなく手に入れたいとは思っているけど、それは自分がほしい時に出してくれればいいだけのものであって、仕事や私生活のなかにいきなりねじ込まれる筋合いはない。

DXもいいんだけど(いいんだけどというかDXを目指すのは当然として)、UI/UXあたりの話がもう少し当たり前のように考えられるようになってくれるといいんだけどね。このままだと、実社会でもゴミみたいなUIのタブレットで注文する店ばかりになってしまうかもね。