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Research Interests

1 マーケティング・サイエンス

購買履歴や幅広い行動ログデータ(Web閲覧履歴、スマホアプリ使用履歴、スマホ位置情報)等の実データを用いた統計解析で 消費者の「将来の購買時期」「競合他社での行動」等の行動予測を行っています。
1.1 競合利用の予測
企業は意思決定のために様々な情報を活用していますが、その情報は常に不完全です。そこでSOW(シェア・オブ・ウォレット)の予測を中心として、自社のID-POSをはじめとしたログデータや外部の調査データ等から自社顧客の外部での行動を把握するための手法や指標を開発しています。
1.2 消費者の異質性の理解
市場には多様な消費者が存在しています。これは単なる属性としてのデモグラフィック情報(年齢・性別等)、サイコグラフィック情報(価値観・趣向等)だけではなく、同一のデモグラ属性の消費者でもウェブ閲覧や商品購買などにおけるあらゆる異質性(heterogeneity)が存在していることを意味しています。
このような広い意味での「消費者の異質性」を考慮したモデリングを行うため、予測モデルの作成にあたり新たに「多様性変数」をを定義することで、消費者の興味関心や行動の幅広さを指標化して解析に取り入れています。

1.3 データ融合による情報予測
意思決定にあたり自社で得られる情報に加えて外部の調査データ等を組み合わせることを考えた場合、それら複数のデータでは顧客と調査対象者が重複していない(仮に一部が重複していたとしても集計に用いたIDが異なることから同一の消費者かを判定することは困難)であり、単に2つのデータを組み合わせて解析を行うことは難しいという問題があります。
 そこで深層学習など近年の機械学習モデルをこれらデータ融合に応用することで、変数ごとの複雑な関係性を把握しながらデータ融合を実施しています。(新美・星野, 2017; 新美・高畑・星野, 2018[投稿中])

2 機械学習を含む統計解析手法の開発

マーケティングにおける顧客予測を既存手法より高い精度で実現することを目的として、統計手法(人工知能、AIモデルを含む)や指標の開発、改良を行っています。

2.1 大規模データの同時モデリング
統計モデルでマーケティングデータを扱うにあたっては、ECサイト等で収集したウェブのアクセス履歴データを中心に、 実店舗の訪問/購買履歴データやモバイルアプリの操作情報、さらにはスマホで取得した位置情報など、いずれも大規模なデータを複数組み合わせた同時モデリングを行うことで、消費者の行動を多面的に把握することが可能となっています。

2.2 データの要約のための指標開発
大規模データの利用が当たり前になってきたとはいえ、ストレージやコンピューテーションのための計算資源には限りがあります。特に大規模になりがちな行動ログデータについて、代表値を用いた効率的な要約を行うための指標や、予測精度を落とさずに効率的な予測を行うための次元圧縮の手法の開発・提案などを行なっています。

2.3 深層学習手法の開発
近年ではニューラルネットワーク(Neural Network)、とりわけ深層学習(Deep Learning)といった、 人工知能(AI)を用いた行動・情報予測に対して社会的に高い関心があります。そこでこれらAIモデルについては、単なる利用だけではなく既存手法の改良を行っています。