にどめましての憂鬱

2回目接種が完了した。結局こんな基礎疾患が山盛りの状態でも自治体にはろくに頼らせてもらえず、周りの方々に手を差し伸べてもらうことになった。逆にいうと、今の時世は(諸々の自粛の要請なんかも含めて)本当にただ生き抜くだけでも繋がりを持たないと大変だろうなと思ってしまう。ここしばらくは自己防衛における他者との繋がりの大切さを痛感することが本当に多い。

やっと届いたクーポン券を慶應に送らねばならないのだが、クーポン券の郵送用に渡された封筒は料金受取人払郵便になっていた。まさか接種券の取りまとめのための郵送料まで無料にしているとは思わなかった。地域に根付いた大学というのはこういうところで株を上げていくんだなと思うし、これだけ力を入れていることには純粋に感謝しかない。

ワクチン2回目の発熱は39.7度まで上がった。周りの話を聞いていてもなかなか高かった方だと思う。しかしそんなことはどうでもいい。熱の多少の高低や腕の痛みなんて本当にどうでもいいのだ。1日半も寝ていれば(なんなら寝ていなくても解熱剤でも飲んでほかっておけば)勝手に収まるものに対してそう恐れ慄く必要はない。心配すべきは接種直後のアナフィラキシー以外にない。そしてそれは宝くじが誰にも当たらないのに誰かには当たるのと同じく、全く確率的に、誰にも起きないが誰かには起きる。

こういう考え方というのは、僕自身が面倒な持病を抱えているからとか、統計学を教えているからとか、まあそういうのもあるだろうけど、今振り返ると一番の要因は小学生の頃に読んだ漫画『スパイラル』の影響だった。実に変な漫画だったが、基本的には誰も心配しなくていいほど稀な不幸も誰かしらには降りかかり、そしてそれを受けた当事者は決して誰のせいにもできないという残酷な事実を一番初めに教えてくれた。漫画と辞書は馬鹿にできない。

結局39.7度の熱を下げるために1日半とロキソニン4錠分かかった。とにかく眠たすぎて36時間何も食べずに眠り続けていたおかげで、退院から2ヶ月でほんの少しだけ戻った体重がまた全部落ちた。なんなら退院した日の体重より下がった。副反応なんかよりこっちの方が遥かに困る。