DTM・プラグイン系

毎日ひたすら自宅で仕事してたら電気代が無茶苦茶なことになった。一人暮らしで電気代2万ってなんだよ。

iZotope製品を買い漁った話

経済を回すとか理由つけても実際には前から欲しかったものを買い漁っているだけなのだが、ここにきてiZotope製品をクロスグレードセールで買い漁った。Vocal Synth 2とTonal Control Bundle(Neutron 3 Advanced、Ozone 9 Advanced、Nectar 3)を手に入れた。結論から言うと、セミプロぐらいまでの音楽制作はもう全部iZotopeでやればいい。それでいい。Neutron + Ozone、あとノイズ取るのにRXと、ボーカルの音整えるのにNectarあったらもうDAWの機能ほとんど要らないよこれ。

Vocal Synth 2(VS2)

VS2はトークボックスもヴォコーダー系も基本的にあんまり使わないから最初あまり興味がなかったんだけど(あえて言うならBach LogicとかJazadocumentとかっぽいボーカルを組むテクニックは持っておきたいとは思っていたけど)、試しにヴォーカルに薄めに乗せてみたら鳴りがめちゃくちゃ良くなった。VS2はどうしてもボイスチェンジャー的なノリがあってかけすぎると普通のボーカルではなくなってしまうことが多いので、ポイントは薄くかけること。DTMでは多くの人が変化を出したすぎるあまりどうしてもエフェクトを強めにかけるきらいがあるので。

VS2はMIDIモードにして、基本は5度、要点で7度のハモリをDry/Wet 30〜50%ぐらいで乗せると厚みが出ることがわかった。もともと声が細いからこれまではWAVESのCLA Vocalとかで補正してたんだけど、Vocal Synthのコーラスで厚みを作る方が綺麗に仕上がる。もちろんVSだけに頼らずトラック増やして別撮りのコーラスも載せた方がいい(特にCLA VocalはDelayとかReverbも乗りまくる割とやんちゃなエフェクトなので他のものと共用するのはバランス的に結構難しい)。

Neutron 3 Advanced

巷ではOzoneの破壊力ばかりが取り上げられて「もうスタジオエンジニアは入らなくなるかも!」とか言われているものの、はっきりいってNeutronも相当にやばい(そしてスタジオエンジニアはそれはそれで要らなくはならない)。NeutronはずっとElementsを使い続けてきたんだけど、ここにきてAdvancedにした結果、Visual Mixer(VM)がマジでモンスター級にいい。Track AssistantとMix Assistantそれぞれの持つポテンシャルが素晴らしい。マスターにVMを挿しといてあとはMix Assistantで大まかなバランスを取る。これが素晴らしいのだ。

動画内では各トラックのFXチェーンの一番頭にRelayを挿すっていってるけど、マシンスペックに余裕があるならRelayではなくこちらにもNeutronを挿した方がいい。どうせTrack Assistantで各トラックごとの最適化も任せるわけなので。僕の場合Abletonではドラムラックの各音色にもNeutron全挿ししてます。そっちの方が音の調整、例えばキックとベースラインの帯域がかぶってないかの確認がやりやすいので。

ただ欲を言うと、Visual Mixerでの調整にあたり各音色を垂直に移動できてほしい。あるトラックの音量を下げようと思ってVM上でノードを下げたらちょっと左右に移動しちゃったりする。やり方あるのか調べてみるけど。音色が多くなるとVM上に表示されてるノードの数がすごいことになるので、グループ化して表示/非表示をわけられたりしたらいいなと思っています。

Ozone 9 Advanced

真打。もうまずこのプロモーション動画がよい。マスタリングのTipsとかスクールの散々な過程が出たのち、Ozoneの登場のところでなぜか全然関係ないNative InstrumentsのMASCHINEがグラデーションで光って起動する。iZotopeの動画では機材系にはMASCHINEやKOMPLETE KONTROLをはじめとしてNI製品が多く登場する。これはOzoneがNKSに対応してMASCHINEとかKOMPLETE KONTROL上から触れるようになったからかな。

Ozone 9 Advancedに関しては、(昨日使い始めたからまだしっかりしたレビューはできないけど)、プリセットの数が違うとかReference Trackが読めるとかより8のElementsから乗り換えた身としては調整の精度がもうまず全然違う。なんだこれは。Tonal Balance Control(TBC)でトラックのEQやGainをマスターから調整するには、各トラックにNeutron、Nectar、Relayのどれかが挿さっていればいい。

英語わかるエンジニアならこのへん見れば絶対に興奮すると思う。

iZotope製品に特徴的なこととして頻繁にMachine Learning(機械学習)を前面に押し出してくるのだが、正直にいうとあまりにも機械学習を推されると研究分野の関係でげんなりしてしまうところもある。とはいえそれは「社会科学領域における機械学習」 (a.k.a. モデルなきフィッティング)の弊害に過ぎないし、機械学習の真骨頂はメディアファイルにおけるパターンマッチングだと思っているので、そういう意味では極めて正しい。

結局のところ

クラブミュージック系のDTMなんかだと特にそうだけど、結構ローエンドがぐちゃぐちゃになってることが多い。僕自身は低音の分離が良すぎるミキシングはベースラインと上ネタが別の曲に聞こえるような気がして必ずしも好きではないけど、とはいえローエンドの整理なんかはiZotope製品の得意なところでクリック一つでeliminate muddy low-endしてくれるのが最もよい。

プラグイン同士の連携のためにDAWの各機能はもはやBypassされているといっても過言ではなく、全部iZotope系プラグインで作り込もうと思ったら、下手にDAW側の機能は触らないほうがいいと言う話にすらなってくる。現にいまAbletonは本当にただの抜け殻になっていて、トラックボリュームもPANも全てデフォルトにした状態でVisual Mixer側で調整している。このままいくと本当にiZotopeから全トラックにNeutron、マスターにOzoneがデフォルトで内蔵されたDAWが出てもおかしくない。俺がAbleton使うのはMax 4 Liveのためだからまあ使い続けるのだけど。

iZotope製品がエンジニアを不要にするようなことを言う人はよくいるけど、実際これはエンジニアが自分の負担を軽くするために使うものであって、ベッドルームミュージシャンがエンジニアの外注費用を抑えるためのものではないと思う。っていうかそれこそ機械学習でそれらしい楽曲なんていくらでも自動生成できるようになってきてるから、むしろ知識のない凡庸なベッドルームミュージシャンこそ不要になるんじゃないかな。まあ本来それは趣味なので不要になっても続ければいい話なんだけど。

WAVESもiZotopeも近年明らかにプロダクトラインの価格を下げてベッドルームミュージシャン向けにも販売することで売上を伸ばしているのは事実なんだけど、価格を下げると「知識量も相応しかない人たち」が顧客になる。特に価格をタダにした時の威力というのは絶大で、今はOzone 9 Elementsをタダで配ってるけど、調べれば3秒でわかるようなことをtwitterに吐いて、「とりあえず調べてみませんか?」とか言われるのをここ数日でかなり見かける。公式もかわいそうなことだなあ。ケータイショップで初期設定3000円とか書いとくとそれまで偉そうにタダで設定させようとしてた客が誰一人として有料では頼まないのと構造全く同じだよな。

大半の一般の人たちこそデバイスを全部Apple製品で揃えれば生活が完結するのと同じで、多くの凡庸なベッドルームミュージシャンこそ余計なことにこだわらず全部こういうのに突っ込めばいいのに実際にはなぜか逆になってんだよね。研究も芸術も何もかもにおいて巨人の肩に立っている凡庸な我々は、作りあげられた既存の世界に自分の人生の全てをかけてひとつまみの新しさだけ振りかけられればそれで十分だというのに。