防音材・吸音材とマイク談義

防音材・吸音材とマイク談義

名大の研究室が連日の豪雨でめちゃくちゃに浸水してしまい、排水とか諸々で丸1日潰れてしまった。システムも全部休止させたりして波乱だった。名大の経済学研究科に出入りしてもう10年以上経つわけだが、この部屋がよりにもよっていろんなところからの浸水が全部流れ込むような場所にあることが初めてわかった。

1 吸音材の設置

まず50cm四方の吸音材(厚さ5cm)20枚入りが届いた。開けてちょっと引くぐらいの量だったけど、貼っていったらちょうどいいぐらいの量しかなかった。。

吸音材に関しては、ウレタン素材でこの形でそれなりの厚みさえあれば正直どれでも吸音性能は変わらないので、安さ優先で買うべきという判断。これはたぶん間違っていない。

貼っていくとまあこんな感じ。どうせ退去する時にこの壁は1面全部張り替えてもらうつもりなので、吸音材は両面テープで直貼りする。修繕費を気にして変にお金をかけるより壁1面まるごと張り替えてもらう方が安い。過去2回の修繕費から考えてもせいぜい6000円ぐらいのものなので。

なんか吸音材のサイズが微妙に違ったり、そもそも俺の貼り方が適当だったりしてぴったり貼れなかった。かなしみである。

ちなみにこういうウレタン製の吸音材はハサミやカッターで簡単に切れる。

2 防音床材の設置

次にソノーライズの防音マットZS(厚さ20mmタイプ)も仕入れたので早速設置した。1枚あたりおよそ0.5畳のサイズで、なんでそんな中途半端なんだろうと思っていたのだが、現実問題これ以上大きかったら俺では動かせなかった。

作業途中で腰が死んだのでこの写真しかない

配達してもらった玄関からリビングまで引きずる間に2年ぶりのぎっくり腰になった。ぎっくり腰は名前からのイメージは背骨がパキッってなって終わるみたいな感じなんだけど、実際の感覚としては広背筋が攣る感じ。なので痛みの種類としてはこむら返りとも近い気がする。

設置してみると91cm四方で1枚16キロもあるだけあって、安定感は抜群にある。変に薄い、軽いものだとどうせずれるので重厚感はある方がいい。

当たり前といえば当たり前なのだが上に乗ってみるとこの床材はフローリングよりは硬く、買う前はもう少しラバー素材的なものなのかと思っていたので、上にテーブルやスタジオラックを置いて穴が開いたりしないのかと不安だったのだが、この材質なら意図的に傷つけない限り傷つかなそう。

そしてこちらも当たり前といえば当たり前なのだが、スピーカーを大きめに鳴らしても共振はしなかった。ありがたい。

3 鳴らしてみて

これまでうちのM-AUDIO BX-5 D2は低音の輪郭がぼやけていて、特にキックを鳴らすと共振もあってミキシングには到底使えないような代物だった。しかしこれは俺の設置の問題でもあって、まず壁に吸音材を入れた時点でキックの音が締まった。鋭いというほどではないが、これまでのぼやけた音ではなくなったのは確かで、この時点でミキシングに使ってもいいかなと思い始めた。

そこから床材を入れてどうなったかというと、床材に関しては下の階への防音目的なので鳴りはそこまで変わっていないのだが、ただ設置面の材質が硬くなった関係で共振がまた減った。ほとんど意識しなくてもいい程度までは収まってきた。後はモニタースピーカー下に薄めのコンクリートブロックでも入れておけばもう少しコントロールできそう。BX5は何しろパワーのあるスピーカーなので、接地しているところはなるべく硬い材質のものを挟み込んで低音の響きを段階的に抑えていくことで防音につなげていく。

4 マイク談義(今後の計画)

今やっているプロジェクトで割と派手めなJazzピアノのビートの上でラッパー2人とシンガー1人が乗る楽曲を録ってミキシングしていて思ったこととして、今のマイクではミックスに時間がかかりすぎる。もちろん今のBlue MicrophoneのBluebird SLやSpark SLは形や色合いが本当に好みで気に入っているんだけど、実際問題としてもうワンランクあげるか、将来また買い換えることを見越して2ランク上げるかぐらいはしないとまずい。というのも、もちろんBluebirdはこれはこれですごくいい音が録れるので素晴らしいのだけれど、たとえばNeumannとかに比べると(もちろん録音環境のせいっていうのもあるんだけど、)粒度がちょっと粗いなあというのが正直なところ。特にAuto-Tuneはじめボーカルをケロらせる人にとってはちょっとした背後の環境音とか粒の粗さが結構なノイズになるので、そういう人ほどどうせ加工するからと言わずに元をいい音で録った方がいい。

Bluebirdとかは、例えば「これまではずっとダイナミックマイクを使っていたんだけど、ここで初めてコンデンサーマイクを買うのでちょっと奮発したい!」ぐらいなら圧倒的に良質だしおすすめできる。決して悪いものではない。なので3万のBluebirdからまあ10万〜20万ぐらいのものにアップグレードしようかなと思っている。「本格的なスタジオクオリティとまではいかないけど良質なホームスタジオ向けコンデンサー」となるとこれはたぶんaudio-technicaあたりで、10万前半だとAT4050ST、後半でAT4060Aあたりになるのかな。Bluebirdの可愛い感じから急に無骨になるので個人的にはちょっと悲しいのだが。

しかし、あるいはたとえばもう奮発してマイクの”正解”ことNeumannを買うとしたらU87Aiとかになるのかなー。基本的にはハード的なものよりソフトウェアによるデジタル処理で音を加工するタイプの人間なので(特に今はメインとハモリ2トラック録ってiZotopeのNectarとVocalSynth2でいじるのが楽しい)、マイクに入る時点で音がいじられるのはちょっとなーとは思っていたのだけれど、しかしNeumannのマイクの質を聞いてしまうとちょっと話が変わってくる。

そしてそれだけマイクのグレードを上げるのであれば必然的にマイクケーブルも変えることになる。音質は水流と同じで基本的にボトルネックのレベルに揃う。ただ、マイクケーブルに関してはもうACOUSTIC REVIVEのXLRケーブルを買うと心に決めている。たかがケーブルではあるものの、アコリバは最近本当に評判がいいので実は変えるのが楽しみでもある。

後はマイクスタンドをGRAVITY製に変える。GRAVITYのラインは確かに全体的に値段が高くて正直マイクスタンドにこんな額出してられるかとも思うのだが、とはいえ重厚感があって高いだけの質感がある。というのもわざわざGRAVITYを買おうとしているのには理由があって、(これはひとえに俺の扱い方が悪かったせいだが)KYORITSUのマイクスタンドが折れた。普通にマイクを繋ぐぐらいで使っていればもちろん折れないんだけど、そこにたとえばコンデンサーマイク、ポップガード、マイクシールドなんかを全乗せすると結構な荷重がかかる。するとあの強度では折れても仕方ないし、折れなくともネジをしっかり締めてもヘタってきて床を傷つけたりする。これにより前の家ではPタイルの床が2箇所へこんだ。

後はこれだけマイクをアップグレードするわけだから湿度のコントロールなんかもしていかないとすぐダメになってしまう。