長期投資と時間分散

*以下に書いてあるのは

投資における大前提として「時間的な分散」というものがあるけど、色々なところを眺めていると、(どうみても時間的な分散を実現するために)1日1回、下手したら数時間に1回とかっていう高い頻度で、何度も少額投資を行っている人がいるのを見かける。前から思っていたけど、これって意味あるのだろうか。いつかS&Pでシミュレーションしてみよう。

投資における「分散」というものをより正確に示すなら「銘柄での分散」と「(単なる購入タイミング以上の)時間方面での分散」を意味しているのではないか。いずれも、誰しもが「投資先は——どの銘柄も平均的には、なおかつ長い時間でみれば——上昇するであろう」という信念のもとに実現する。僕はもはや、ある企業への投資とはその企業内の努力に基づく成長にフリーライドするためのデポジットみたいなものだと思っていて(僕自身はその成長に対して努力していないのであくまでもフリーライドだと思う)、そのような「成果」を短期的なスパンで期待すること自体がそもそものお門違いであることは疑いようもない。高橋ダンも「投資の9割は待つこと」と言っているように、何かやりたいという気持ちをどう抑えるかが割と重要なのではないかと思う。というより、時間が余ってるならそこは普通にお金を稼いで追加投資なりすればいいのではないかとも思う。お金に働いてもらうためにはお金がいるのである。

繰り返すと、結局は長期的であることに意味があり、長期的な上昇トレンド(経済成長 × 企業成長)に乗ることを基本としつつ、経済全体に対して確率的に発生する下落を適度に掴むことが平均取得価額と評価額の乖離につながるのではないか。

裏を返すと、(仮想通貨やFXは別として)非常に短期的なスパンの中で高頻度の取引を行う場合、その値動きの分散は単なるランダムウォークの域を出ないおそれがあって、言い換えると高値も安値も掴みながら結局は平均への回帰に落ち着く、みたいな無駄にリスクばかり取ってしまうことになりかねない気がする。ランダムウォーク以上の”有意な上昇”を求めていながら実際にはリスクヘッジで短期的なランダムウォークを平滑化するのはもったいなく思える。

あと海外銘柄を扱う投信なんかはそれ自体の値動きに加えて為替レートの変動が乗っかるという意味では非線形アクティベーションのかかった変量なので、解釈が難しくなるのは自然なことだし、そういう意味では個人的には為替ヘッジを一方的に悪とする最近の風潮はあまりよろしくないようにも思う。それは「長期的には上がるはずなのであり、そのためにはとかく管理コストを抑えるべきだ」といった(いかにも最近のインフルエンサーがよく言うような)信念に基づいた、ある意味では思考停止的な行動に近い。(もちろん為替ヘッジを切った方が通貨での分散が乗るので、無条件にヘッジしろとかっていうことではない)

最後にリスクを取るという意味で、知り合いの金言を書き残しておきたい。「S&P500に毎月積み立てるようなものは投資とは言わない」うん、最高ですね。それぐらいハードな生き方をしている人と話すのは楽しい。ただし、投資に慣れていない人がいきなりこういうことをやろうとすると(色んな意味で)ぶっ飛ぶので気をつけてください。