投資カオス時代に放り込まれるマジョリティに贈りたい戯れ言

なんで経済がこんなめちゃくちゃになっているタイミングでいろんな人たちが急に「投資やりたい!」って言い出したのかよくわからないんですけど、テレビとかでそういうの煽ってるんですかね。仮想通貨バブルもそうだったけど、何事もみんな(マジョリティ)が一斉に騒ぎ出す時期ってろくなタイミングじゃないよな。

投資の勉強をしたいという人にはいつも、とりあえず古典『ウォール街のランダム・ウォーカー』の最新版(2022年春の段階では2019年の第12版が最新)を買って本に穴が開くまで読むこと、そしてとりあえずつみたてNISAの口座作ってインデックスファンドに全額突っ込めばいいといういわゆる”超正攻法”を伝えるのだけど、投資に成功を重ね夢見る人びとには、どうもあの本あるいはインデックス投資はつまらないらしい。僕は初めて読んだときには結構感動したんだけどな。もっとデイトレードみたいなのがやりたいんかね。

各所で語り尽くされてる話の繰り返しにしかならないけど、インデックスの強みはとにかく経済成長(=社会全体の努力の結果)に相乗りできることに尽きる。俺だって8年くらい経っても余剰資金を短期トレードと仮想通貨にちょろっと突っ込んで遊んでいるだけで、基本的には未だ全額インデックスに突っ込んでいるわけで。

そして日本人は貯金、もっというとタンス預金(もはや銀行に突っ込んでおくことがタンス預金と大差ない時代なのでそう呼ぶが)が大好きな民族である。あまり気づかれていないが、今の日本においてほとんど利子のつかない銀行口座に資産を預けておくことは自動的な損失につながる。言い換えると銀行預金は「価値の保存」という役割すら為せない。

それは単純な話(理解を優先してあえて馬鹿みたいに単純化すると)、主要先進国の賃金が時の流れとともに上がっていく中で日本だけが取り残されているということであり、海外の物価は日本と比べ相対的に上がっていく。つまり資源に乏しい日本においては、資産の額が同じでも海外から入ってくる資源価格が高くなることで実質的な可処分所得が勝手に減っていくわけだ。だから銀行に同じ100万円入っていても、10年後にはそれで買える価値の大きさは今よりさらに少なくなる。10年後iPhone(あるいはそれに準ずる商品)は一体いくらになっているだろうか。

そういう意味でも物価は時代とともに緩やかに上がることを目指すべきだと僕はずっと思っているが、多くの人はうまい棒の値上げにひどく狼狽した。ただそれは多くの場合にあの商品を自身のレミニセンスに重ねただけの話だ。海外メディアを見れば、うまい棒は「日本経済の停滞を象徴する商品」に近い言い方すらされていた(細かい表現は忘れた)。

一方で一部の人はうまい棒の値上げを経済成長につながると歓迎したが、これは輸入価格が上がったことに対する値上げでしかないと思う。言い換えれば、実質賃金が増えるわけではないので経済成長につながるとは思えない。

そういう意味で、日本経済の伸びが他国のそれに満たないのであれば、他国(たとえば米国)の経済成長に相乗りすることが必要になるわけですわな。

さあ、FRBの利上げやら、岸田首相の夢みる「新しい資本主義」笑やら、コロナショックに未だ続く自粛まで、様々な要因が絡み合ったなかで世界経済はどう動いていくんでしょうかね。とんでもなく怖いけど、もはや逆に楽しみにすらなってきたな。