Neumann TLM102とUAD Apollo Solo導入の儀

NeumannのマイクTLM102と、Universal AudioのオーディオインターフェイスApollo Solo Thunderbolt 3 Heritage Editionを導入しました。どちらも憧れのメーカーだったので嬉しい。

1. Neumann TLM102

今回はBlue MicrophonesのBluebird SLからのアップグレード。調べてみたら2018年にBlueがLogicoolブランドに買収されていたことにショックを受けたが、逆にいうと5年くらいはBluebird SLを使っていたんだなと思うと感慨深い。Bluebirdが3万ぐらい、TLM102が10万弱なので、価格でいうとおよそ3倍になっている。その前はSHURE SM58だけで録っていたので、振り返ればかなりアップグレードされた。

音について

TLM102は一部からはNeumannの中では少し異質な音だとも謂れているものの、一方で周りで使っている知り合いたちからはいずれも「ビビるよ」と言われていた。とはいえいずれもカーディオイド、周波数帯域20Hz-20kHz、SN比が82dB、感度には差があるのと、入力を144dBまで受けられる(Bluebirdが138dB)けどまあそれはホームスタジオでボーカル録りするぐらいなら大差ない。

使ってみた。

…最初の0.5秒でわかった。全く違う。

Bluebird SLと比べると本当にビビり倒すぐらい違う。ボーカルが始まる前の息遣いが聞こえた時点でその解像度(ただしくは分解能)の高さにぶっ飛んだ。友人からは「ミックスがいらないレベル」と言われていたんだけど、それの言わんとするところも分かる。「音圧の高さ」っていってしまうと違うんだけど、情報量の豊富さが全く違う。

TLMは下の画像の通りで「周波数特性としては6kHz以上をわずかにブースト」されていて、一方のBluebirdはハイパスフィルターがついていたりしてローを切れるんだけど、そういう周波数特性の問題ではない気がする。

音を拾う範囲の広さ自体はBluebird SLのほうが広いような気すらするんだけど、裏を返すとなんとなくノイズを広く浅く拾いやすいような気がしていて、そういった意味ではTLM102のほうが「より狭い範囲の音をしっかり拾っている」ような感じがする。それが音の「情報量の高さ」という感覚につながっているのではなかろうか。

いやこれはもう抜け出せないですね。買いです。次買うとしたらNeumannの30万台のマイクとかにならざるを得ない。ただ、テクニカの同じぐらいの価格帯のマイクも気になりますね。

2. Universal Audio Apollo Solo

マイクを変えた時点ではPreSonus Studio 1824cでレコーディングしていたんだけど、その数日後にUADのApollo Soloが届いた。これを買ったのにはいくつかの理由があって、

  • Universal Audioのインターフェイスに憧れがあったから
  • ライブ用に小型のインターフェイスが必要だったから
  • レコーディングソフトLUNAを使ってみたかったから

この3点が大きかった。

Thunderbolt 3について

いま最新のApollo系はThunderbolt 3 (TB3) 接続なので、PC/Mac側にTB3端子が必要なのはもちろん、ケーブルもそれに対応している必要になる。形状がUSB-Cだからとその辺のケーブルでは(充電ケーブルはもちろん、データ通信用のケーブルでも)平気で電源も入らなかったりする。しかもこいつはケーブルが付属しない。僕は面倒くさくなって、今後の拡張性も考えてBelkinのThunderbolt 4ケーブルを買った。これは下位互換性があるのでTB3やUSB4の通信にも使える。

使ってみて単純に便利だったのは、UADのルーティングを設定するためのConsoleアプリ。Console画面上から個別にどのマイクにファンタム電源を流し込むかクリックで選択できるのが地味に便利だった。(当たり前といえば当たり前だけど、コンデンサーではないマイクにファンタムを流し込むのは一般的には推奨されていないので、必要なものだけに選択的に電源供給する必要がある)

Heritage EditionのプラグインとUnisonについて

そして、今回はSoloにした代わりにHeritage Editionにした。Heritageには「Teletronix®、Pultec®、そして UA からのコレクションを含む、受賞歴のある5タイトルのUADプラグインがお得な価格でバンドル」されている。

個人的には、プラグインはかなり揃っていると思っているので、変に買い足す必要はないと思っていたんだけど、ちょっと予算が余っていたこともあり興味本位で買ってしまった。ここでついてくるプラグインや実機モデリングのマイクプリはUADのいわゆるUNISONテクノロジーで走る。これは「単にプラグインを掛け録りできる」とか「音が良くなる」とかそういう話ではなくて、そのメリットはインターフェイスに乗っかっているDSP(SHARCチップ)上で処理することによりPC/Macに負荷をかけず、なおかつレイテンシーなしで走らせることができるところにある。

ということでNeumannのマイクをUnisonのプリアンプ掛け録りにしてみて気づいた。普通にApolloを買うだけでもAnalog Classics Plus Bundleがついてくるので、その中のUA 610-B Tube Preamp and EQを使うだけでいいんだけど、これだけでも音にとんでもなく厚みが出る。

ブラックフライデーとかで中途半端な値段のプラグイン買うのはもうやめたほうがいい。安物買いの銭失いでしかないということがこれでわかった。

個人的には、これ以外のプラグインではiZotope系からRXとOzoneあたりには惜しげもなくお金を出すべきだと思う。RXはバックグラウンドノイズを取るためのDe-noise、リップノイズを取るためのMouse De-clickあたりのモジュールは本当にクオリティが高くて使いやすい。あとは楽曲解析のためのMusic Rebalanceと、一応De-clipあたりが使えればいい。もちろんモジュールとしてはDe-essもあるんだけど、個人的にはディエッサーに関してだけはWAVESのTriple Dで使えるDeEsserほうが軽くて使い勝手がいい。OzoneはAdvancedにすればいいです。

UADも伊達にここまで名前をあげてないなということがよくわかった。買いです。Lunaはまた試します。